青春ド真中!
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■1話

01.優しさ
02.青春ドラマを否定した
03.踊る大捜査線
04.オープニング
05.3人の先生と下宿
06.修学院高校
07.校長と教頭
08.バクダンの過去
09.精密に設計されたシナリオ
10.これぞ学園ドラマの傑作

2.青春ド真中は、青春学園ドラマを否定した

 青春学園ドラマというジャンルは、日本テレビの名プロデューサー岡田晋吉氏によって誕生した独特のジャンルです。
 その頂点が、青春ド真中であり、この青春ド真中こそ学園ドラマの最高傑作である可能性が高いのですが、プロデューサーの岡田晋吉氏は、この青春ド真中を気に入っている様子がないのです。それは岡田晋吉氏の『青春ドラマ夢伝説』を読んでも、そんな雰囲気が読み取れます。

「このシリーズは一応の成功をみたが、私は、もう日曜日夜8時の「青春もの」は終わりにしたいと思った。この10年間、私は鎌田敏夫と組んで、「青春もの」を作り続けて来た。しかし、この作品を作っているとき、何か新しさを感じなくなってしまった。私も、鎌田もこの手の番組のアイディアを全て出し切ってしまったのかも知れない。私も40歳台の半ばに差し掛かり、10代の青年の言動が分からなくなってしまったことも関係している。 それまでは、ドラマに出演している高校生役の役者たちと、結構話が通じたのだが、ここまで来ると、映画の話、音楽の話をしても相手と意見が合わなくなる。鎌田にも、「もうこの辺でわれわれの「青春もの」は終わりにしよう。他所の局へ行って、もっと大きくなってよ」と言って別れを告げた。(岡田晋吉・青春ドラマ夢伝説)」

 岡田晋吉氏は、青春ドラマ夢伝説で「何か新しさを感じなくなってしまった」と言っていますが、これは額面どうりには受け止めることはできないと思います。

 というのも、この青春ド真中は、岡田晋吉氏が手がけてきた、どの青春学園ドラマとも毛色が違っているからです。むしろ岡田晋吉氏の青春ドラマシリーズを否定しかねない要素をもっている。そのくらい感じが違っている。では、どう違っているのか? 一言で言うと、今までの学園ドラマの否定から始まっているからです。

 まず先生と生徒が逆転しています。
 生徒の青春ドラマではなく、
 先生の青春ドラマになっています。

「昭和40年代の「学園もの」では、夏木陽介の完全人間の先生から始まり、年を追うごとに先生の年齢が低年齢化し、不完全人間へと移行して来たが、先生としての権威は保っていた。しかし、今回は、およそ一般的な先生のイメージに反する先生を設定した(岡田晋吉氏・青春ドラマ夢伝説より)」

 この設定によって、青春ド真中は、今までの学園ドラマ全てを否定することになります。今までの学園ドラマは、立派な先生が、落ちこぼれ生徒を立派に更正させるというパターンが多かったのですが青春ド真中では、その逆なのです。むしろ落ちこぼれているのは教師の方であって、生徒のほうがよほど常識人なわけです。

 それに対して青春ド真中では、一人としてまともな教師はでてきません。

 非常識な中原先生(バクダン)。
 だらしがない平先生(ヘー)。
 たよりない小森先生(ボーヤ)。
 気性が激しく色気のありすぎる田坂先生(ビックリマーク)。
 みんな、どこかおかしくて、子供みたいな教師なのです。

 それに対する生徒といえば、全く逆。大人なんですね。教師よりも大人で真面目で良識がある。生徒の中には、落ちこぼれみたいなものもいれば、ワルぽい人もいたりしますが、何だかんだ言っても常識のラインにそっているし、充分に良識がある。決してアウトローなわけではありません。むしろ教師より、よほど大人なんですね。大人びていて、冷静沈着で、変に突っ張っていることもなく、教師としては扱いやすい生徒たちなんです。

 これは、今までの学園ドラマの正反対なわけです。

 その大人びた生徒たちに対して、面白くない中原先生(バクダン)は、爆弾をしかけるわけですが、これは学園ドラマを生み出し、作り続けてきた岡田晋吉氏としては、あまり面白くないことであったかもしれません。なにしろ生徒を大人にし、先生を子供にしてしまっているのです。こうなると、生徒を導く理想の教師といった青春学園ドラマは、成立しません。それどころか今までの学園ドラマを否定しています。

 青春ド真中が、異色なのは、その後に放映される『ゆうひが丘の総理大臣』と比較しても、まるで違っています。『ゆうひが丘の総理大臣』は、青春ド真中のリメイク作品かと思うほど、青春ド真中に似ていますが、そこに出てくる生徒たちは、青春ド真中にでてくる生徒ほど大人ではありません。むしろ、古い青春ドラマにありがちな子供っぽい生徒が出てきます。ツッパリ君や落ちこぼれが問題を起こし、それを教師が解決していくという古典的パターンになっていますから、そういう意味で青春ド真中は、異色であることは確かです。