青春ド真中!
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■1話

01.優しさ
02.青春ドラマを否定した
03.踊る大捜査線
04.オープニング
05.3人の先生と下宿
06.修学院高校
07.校長と教頭
08.バクダンの過去
09.精密に設計されたシナリオ
10.これぞ学園ドラマの傑作

5.3人の先生と下宿

 『青春ド真中』1話では、イントロダクションで、3人の先生を紹介しています。そして、この3人の先生が、同じ下宿で、共同生活を営み、教師という青春を謳歌するのが、このドラマの基本的な構造になっています。つまり、この3人の教師の物語であって、決して生徒を軸にした物語ではないんですよね。

 もちろん、回を重ねるうちに生徒側の比重も大きくなっていきますが、3人の先生の生活を犠牲にしてまで、生徒に尽くそうという発想のテーマは、1話をみるかぎりにおいて、その欠片もありません。そういう意味では、『青春ド真中』は教職の物語ではなく、3人の共同生活の物語であり、『俺たちの旅』や『俺たちの朝』のつくりと、そっくりでもあります。

 そのせいか、『俺たちの祭』とは、がらっと変わった雰囲気となっており、主役のバクダンも、平先生も、小森先生も、とても単純シンプルなキャラとなっています。『俺たちの旅』や『俺たちの祭』に見られるような、登場人物の複雑でデリケードな性格は、全く見られなくなりました。そのかわり、分かり易くてシンプルなキャラ、ようするに漫画みたいなキャラの先生が3人登場したわけです。

 まず主役のバクダン(中村雅俊)。このバクダンは、登場するやいなや、スケベ丸出しです。そして平先生(秋野太作)。平先生は、だらしなくって流されっぱなし。芯というものがありません。そして小森先生(神田正輝)。小森先生は、悩んでばかり。そのうえお坊ちゃん。3人の先生は、どれもこれも漫画みたいなキャラばかり。こういうキャラを設定しておけば、物語が面白くないわけがありません。

 この3人の先生が、共同生活をしながらゴタゴタしつつ、ストーリーが展開していくわけですが、さらに強烈なキャラが3人加わります。編み物の先生をやっている色気のある下宿のおばさん(久保菜穂子)、そして、いつもツンツンしている下宿の娘のツン(五十嵐めぐみ)。そして、マドンナ先生役の萌子先生(あべ静江)。

 特に、萌子先生(あべ静江)の設定キャラにいたっては、もう、掛け値なしのウルトラキャラ。これ以上のスーパーキャラは無いというくらいのキャラでしょう。まず美人。なのに男嫌いと噂されている。しかし、そうではないと本人は否定し、思わせぶりの色気も発散する。ようするに妙な色気があるわけなんですが、この色気がクセモノで、弓道の弓のように、男を引きつけるだけ引きつけて、突き放すのです。しかも本人は弓道をやっているときている。

 バクダン(中村雅俊)は、この萌子先生(あべ静江)に、さかんにアタックして、いつもお決まりのように自爆するわけですが、これは一概にバクダン(中村雅俊)をスケベとは言い切れません。この場合、むしろ萌子先生(あべ静江)にも問題がありそうです。というのも萌子先生(あべ静江)は、いつも、男を思わせぶりに引きつけるだけきひつけて、突然引き離すからです。言い方によれば、女を武器にしているとも言えますが、そういう簡単なものではありません。いくら女を武器にしても、美人でも、あれほどの色気は出ないものです。萌子先生(あべ静江)には、まちがいなく、歴代の学園ドラマでナンバーワンの色気があります。

 ここで、色気を定義してみたいと思います。
 色気には、3つの必要条件があります。

1.決して自分からアクションをおこさない(常に待ちの体制でいる.自分から好きとは言わない)
2.手の届きそうな範囲に存在している(思わせぶりがある)
3.謎めいている.複雑である(どうとも解釈ができる)

 この3つの定義は、私が勝手にでっち上げたものですが、3つの条件に美人であるかとか、女を武器にするとかは入っていません。

 美人かどうかよりも、謎めいてて、手が届きそうな雰囲気を漂わせてて、いつも待ってていてくれそうな雰囲気が、色気にとって重要な部分であり、その部分に関して言うなれば、萌子先生(あべ静江)は完璧です。

 しいて言えば、下宿のおばさん(久保菜穂子)が、謎めいてて色気を漂わせていますが、やはり萌子先生にはかないません。しかも、萌子先生はスカートをはきながら自転車に乗って現れる。教室では、出て行く際に笑顔をふりまいてから去っていく。こんな色気のある先生が、高校にいたら男子生徒は、夢にうなされるにちがいありません。

 今までの学園ドラマにでてくるマドンナ先生には、こういう色気は無かったものです。『ゆうひが丘の総理大臣』の桜子先生(由美かおる)にも、萌子先生(あべ静江)ほどの色気は無かった。

 由美かおるといえば、水戸黄門のおぎん役が有名ですが、おぎんには色気があっても、桜子先生(由美かおる)には無かった。おぎんにあった、3つの必要条件が、桜子先生(由美かおる)には無かった。だから、総理が桜子先生を追いかけるのと、バクダンが萌子先生を追いかけるのでは、まるで訳がちがいます。

 これは、GTO(反町隆史主演の学園ドラマ)に出ていた、冬月あずさ先生(松嶋菜々子)にしたって、萌子先生(あべ静江)にはかないません。松嶋菜々子や、由美かおるに色気がないわけがないんですが、ドラマの設定によって作り出された萌子先生(あべ静江)のキャラが、いかに独特であったかがわかるかと思います。

 話がそれましたが、『青春ド真中』では、ここに、もう一つのキャラを登場させています。メソ(藤真利子)という女性です。すぐに泣くからメソなんですが、『涙』という女の武器をふんだんに使っているにもかかわらず、それほどもてていないし、色気があるわけでもありません。

 しかし、このメソ(藤真利子)の登場によって、『色気』が何であるのかがはっきりしたわけですから、メソ(藤真利子)の存在意義は大きかったかとも思えます。そして、このメソ(藤真利子)こそが、所々で重要な役割をはたすのです。

 このメソ(藤真利子)と、ツン(五十嵐めぐみ)。実は、セットなんですね。2人は職場の同僚でもあり、幼なじみでもあります。そして、片方はツンツンしていて、片方はメソメソしてばかりいる。それでいて、両方に欠けているものは『色気』なわけで、お互い、漫画みたいに極端なキャラです。そして、この2人は、セットになって、掛け合い漫才をするように、私たちを笑わせてくれますし、このメソの相談事が、バクダン(中村雅俊)を事件に巻き込むことも多かったようです。