青春ド真中!
ドラマ 1話 2話 3話 4話 5話 6話 7話 8話 9話 10話 11話 12話 13話
ロケ地 1話 2話 3話 4話 5話 6話 7話 8話 9話 10話 11話 12話 13話
■1話

01.優しさ
02.青春ドラマを否定した
03.踊る大捜査線
04.オープニング
05.3人の先生と下宿
06.修学院高校
07.校長と教頭
08.バクダンの過去
09.精密に設計されたシナリオ
10.これぞ学園ドラマの傑作

6.修学院高校

 修学院高校。
 そうなんです。修学院高校なんです。

 青春学園ドラマならお決まりだった太陽学園でなくて修学院高校。『俺たちの旅』でカースケ(中村雅俊)とオメダ(田中健)が通っていた修学院大学と同じ名前の修学院高校。

 この名前からして、この作品は、『俺たちの旅』の流れをくむモノであって、過去の青春学園ドラマの流れをくむものではない・・・・と推定できます。それが証拠に、この青春学園ドラマでは、青春学園ドラマにつきものだったスポーツがありません。サッカー部も、ラクビー部も存在しないのです。

 それどころか主役のバクダン(中村雅俊)の不真面目なこと、はちゃめちゃなこと。スケベ丸出しで、可愛い女生徒を見つけるやいなや、名前とクラスをメモろうとします。少なくとも過去に、こういうイメージの先生は存在しなかったし、想像のらち外だったのです。

 実は、これは、あまり知られてない事実なのですが、映像界で教師を悪く書くのはタブーだったのです。小説では、夏目漱石の『坊ちゃん』があったにも関わらず、映画テレビの世界ではタブーだった。少なくとも戦前は検閲があって、教師を悪く書かせないようにし、教育上の配慮を怠らなかった。

 その流れで戦後も、教師が映画やテレビ出てくると、常に教育熱心な熱血先生が、主人公になったものですが、そういう教師イメージを徹底的に破壊したのが、『青春ド真中』のバクダン(中村雅俊)が最初だったのではないかと思います。

 さて、本題に入ります。バクダン(中村雅俊)は、教師になるために、町にやってきました。そして、「下宿には、美人のおばさんと、かわいこちゃんがいる。町を歩けば、また、かわいこちゃんがいる。さらに学校に行けば、あんな美人の先生がまっているなんて!」と、胸をときめかせて登校します。登校中に、同僚の小森先生(神田正輝)が、女生徒にもてていることを知り、がぜん張り切り出します。

 ものすごく学校に期待して初登校するわけです。

 ところがです。実際、修学院高校の教師として赴任してみると、期待に裏切られるわけです。まず、修学院高校は、規則づくめのガチガチの進学受験校なわけです。下駄箱に入れる靴の入れ方も細かく決められており、規則を守らないと反則切符を切られます。そのうえ学校のあちこちに標語や格言が貼られている。まあ、それは良いとしても、教壇に立つ時に、裏切られる。生徒から、新任の先生に対するいたずらがなかった。つまり手荒い歓迎がなかったことにショックを受けるわけです。

 このへんは、明らかに『とびだせ青春』などの青春学園ドラマのパロティーというか、それまでの青春学園ドラマのパターンを踏み外しているわけです。青春学園ドラマといえば、必ず、新任の先生に対するいたずらが付きものであり、ある種のお約束であったのに、『青春ド真中』には無い。つまり、バクダン(中村雅俊)も、リアルタイムで見ていた私たち視聴者も、期待を裏切られてしまった。はずされてしまったわけです。

 このはずされ方ときたら、『踊る大捜査線』の最初のオープニングに、すかされた時と、同じくらいの衝撃でした。『踊る大捜査線』も、今までの刑事ドラマのイメージパターンを逆手にとって、徹底的に、私たち視聴者をはずしてくれましたが、『青春ド真中』も、全く同じ手法で、逆手にとって、徹底的に、私たちを煙にまいてくれました。

 つまり、『青春ド真中』は、『とびだせ青春』などが作り上げた、今までの青春学園ドラマのイメージを崩すことによって、成立しているわけです。そういう意味で、この『青春ド真中』は、非常に異質なドラマだったかもしれません。

 まあ、それはともかくとして、バクダン(中村雅俊)は、昼休みに校庭で生徒が遊んでないことに驚きます。その理由は、特別教室で受験勉強しているからだと聞かされて、また驚きます。そして、進学しない生徒たちは、屋上でひなたぼっこしていると聞かされて、またまた驚きます。

 そこで、屋上に上がってみると、落ちこぼれの生徒たちがやる気無さそうに日向ぼっこしているわけです。バクダン(中村雅俊)は、校庭に出て一緒にサッカーでもやらないかと誘うわけですが、生徒にはやる気無し。しらけているのです。ちなみに、この時代は「しらける」という単語がブームで、小松政夫の『しらけ鳥』の歌がはやっていましたが、そういう世相も反映されているのかもしれません。

 それはともかくサッカーをしようと誘うバクダン(中村雅俊)に対して生徒たちは言い返します。

「先生よ、俺たちが何しようが勝手じゃないかよ」
「新入りだからといって張り切られてもこまっちゃうんだよ」
「どうせ産休補助だろ」
「いいからいいから、お引き取りください」

 このセリフでも判るように、生徒たちは、バクダン(中村雅俊)が、どういう立場で教壇にたっているか分かっています。そして反発するわけでもなく、軽くいなしてしまいます。バクダン(中村雅俊)より、一枚上手なのです。熱血青春学園ドラマの世界に浸りたがっていたバクダン(中村雅俊)の期待を見事に裏切ってしまいます。

 しかし、期待を裏切られたバクダン(中村雅俊)は、タダでは引き下がりませんでした。生徒が、新任の教師に悪戯をしないなら、逆に、教師が生徒に悪戯をしかけるのです。しかし、それは見事に失敗し、教頭先生にこっぴどく叱られます。その結果、反則切符を切られることになるのですが、夢をもって教師になったバクダン(中村雅俊)は、キレて、校長の貼り紙を無茶苦茶にしてしまいます。

「どうして、よってたかって学校をつまんないところにするんだよ」
「・・・・」
「よってたかって学校をつまらないところにするんだよ」
「・・・・」
「校長! あんた校長なら校長らしくね、こんなものベタベタ貼っている暇にですね、もっと生徒が生き生き学校に来られるように考えたらどうですか?」
「・・・・」
「下駄箱の件にしたってですね、何が手前3センチだ・・・・」

 おそらくバクダン(中村雅俊)は、教師を辞めるつもりだったのでしょう。逆ギレして校長に悪態をつき、そのために懲罰会議にかけられることになります。

 また、落ちこぼれ男子生徒にも喧嘩を売って、体と体をぶつけ合おうとしますが、見事にすかされてしまいます。『青春ド真中』に出てくる生徒は、変に利口なんですね。馬鹿じゃないんです。大人なんです。先生と喧嘩しても損するのは自分たちであることを知っているんです。しかし、バクダン(中村雅俊)は、損得を越えたところに夢をもって、教職についた。修学院高校の生徒たちのように利口ではなかった。